「Think Simple」読んだのでその感想とか。
著者のケン・シーガルさんはアップルの広告代理店としてさまざまな広告やキャンペーンを担当された方です。
事例集というか、ある意味ジョブズの伝記として読み物として面白い。
ただし、言いたい事は Conclusion にまとまっているので、要点を抑えたいだけならそれを読めば十分ではある。
あるが、読み物として面白い。
・Think Brutal 容赦なく伝える
お互いオブラートに包んだ物言いで、相手の真意を推測しあうのは無駄。
チーム内で思った事は率直に伝えよ。
(私はお世辞が苦手というか言えない人です。空気もあんまり読めないし、気を使うのも苦手です。メールに本件と関係ない挨拶を入れるのも嫌いです。この項目はクリアしてるはず)
・Think Small 少人数で取り組む
- ただの少人数ではなく、有能な少人数のグループで取り組む。
(本書のなかでジョブズは会議に参加していた女性に「君は誰だ?」といい、議論する予定のプロジェクトに関わっているので参加するように言われました、と答えた女性に「この会議に君は必要ない、ご苦労様。」と言ったわけだが、参加者自身が必要と思っているならまだしも「オレこの会議に出る必要なくない?」と思いながら参加させれられている会議ほど無意味なものはないわけです。
後々関わるかも、利害関係的に参加させないとあとでうるさい、などの理由で参加者が決まっているようではやばいってことですよね。)
プロジェクトの成果の質は、そこにかかわる人間の多さに反比例する
- 最終的な意思決定者がちゃんとした形で参加しないプロジェクトは何であれ疑ってかかれ。
(意思決定者が最後の最後にふらっときてイエスかノーかをいうだけなら、イエスを言われるように無難で(欠点はないが尖ってもいない)平凡な結果になるだけ)
プロジェクトの成果の質は、最終的な意思決定者がかかわる程度に比例する
・Think Minimal ミニマルに徹する
大量の選択肢は選択肢がないことと同じだ。
(本書では、ジョブズがアップルに復帰したときにコンピュータのモデルを膨大な数から 2x2 の 4種類にしぼったことを取り上げており、対比としてデルの製品ラインナップ数の多さに言及している。一度増えた製品ラインナップを減らすのはなかなか難しいことだと思う。最近のスマホの機種数爆発はすごいですね。HTC とか Xperia とかありすぎて私にはもうなにがなんだかわかりません。)
・Think Motion 動かし続ける
偉大なことをなし遂げるには、ふたつのことが必要だ。計画と、十分ではない時間だ。
(もたもたすんな、さっさとやれ。余計なプロセスを増やすな。)
プロジェクトでは、少し時間が足りないのが理想的なスケジュールだ。
・Think Iconic イメージを利用する
(ジョブズが復帰してから iMac を発表するまでの間に行われた「Think different」キャンペーンについて取り上げている。まだ(復帰してから)なにも製品を出していないし倒産寸前だったのに、ブランド確立キャンペーンを行った(つまり投資をした)のは普通に考えればクレイジーである。p137 の「ジョブズの考えるマーケティングとは」は一読する価値あり。)
・Think Phrasal フレーズを決める
(iMac の命名についての話。著者は iMac の名付け親。ジョブズは最初マックマン(MacMan)を推していた。製品やその製品の機能とは全く関係ない中二病みたいな名前じゃなくて、もっとわかりやすい名前にしろよということ、例外は「ドロイド」だそうだ。)
「汝、隣人のマーケティングを望むなかれ」
(ファイナルカット・スタジオ2をリリースするときに、Adobe のようにさまざまなエディションを用意したほうがいいと提案したプロジェクトメンバーの1人をジョブズが一刀両断する話。)
多くのライターは意識したことがないようだが、知的な言葉を使ったからといって、かならずしもその人が賢く見えるわけではない。人や会社をスマートに見せる最良の方法は、完璧な明快さでアイデアをシンプルに表現することだ。
(わかりやすく説明するのはすごく大変だけど、その価値はある)
・Think Casual カジュアルに話しあう
(ジョブズが新しいプランナーのプレゼンテーションに対して怒った話。そもそもプランナーに Apple のブランド監査をさせたという事自体が、大手広告代理店のスタイルを重視するふるまいであり、そういう代理店をジョブズが嫌っていたから怒った。プランナーのプレゼンテーションがいまいちだったというのもあるだろう。3つの文章でいえることを20枚のスライドで見せられたらジョブズじゃなくてもうんざりすると思う。)
・Think Human 人間を中心にする
そもそもアップルが成功してきたのは、人間の価値観を反映する製品を作っているからだ。
(iMovie の CM の話とか、NeXT の話とか、スタンフォード大学の卒業式でのスピーチの話とか)
ジョブズの3つの挫折
・アップルを追い出されたこと
・NeXT で成功を収められなかったこと
・自分の死に直面したこと
「死は人生が生みだした唯一にして最上の創造物だと思われるからです。それは人生に変化をもたらす因子です。死は古いものを一掃して新しいものへの道をひらいてくれるのです。」
by スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ
(本当に余命宣告される状況にならないとなかなか意識するのは難しい。。。)
・Think Skeptic 不可能を疑う
同僚や取引先がノーと言ったときに、あなたは額面どおりに受けとらないほうがいい。かなりの場合でそれは、非常な努力が必要か、いつものやり方と違うか、とてもコストがかかる、といった意味にすぎない。
「他人の意見によって、自分の内なる声を溺れさせてはならない。何よりも大切なのは、自分の気持ちや直感に従って行動する勇気を持つ事です。」
by スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ
(アップルストアを作るときの話とか)
・Think War 戦いを挑む
(いろんなところに喧嘩を売る話。ライバル(インテルだったりマイクロソフトだったり Windows を搭載した PC だったり)を揶揄した広告とか CM とか。)
あんまり広告詳しくないので、本書で出てきた CM の youtube のリンクを貼ってみます。
「1984年」
「Think different」
ナレーションはリチャード・ドレイファスだが、じつはジョブズのナレーションも当時録音してあった。
「Mac とパソコン」
Mac と PC を擬人化した CM あったわー。
全部の種類覚えているわけじゃないけど。
あ、ラーメンズさんが芸人だって知りませんでした。
アメリカの CM では二人とも俳優さんだったみたいです。
「iPod の CM」
最初の iPod の CM はシルエットじゃなかったため、踊ってる青年がすごいマヌケに見えるということで、ウェブでは「iClod」(マヌケ)なコマーシャルと評されることもあったそうだ。
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