2019年12月30日月曜日

Kotlin kernel for Jupyter notebooks で任意のライブラリを使う

動的に dependencies を追加するには @file:DependsOn を使います。 @file:DependsOn("com.squareup.moshi:moshi-kotlin:1.9.2") 指定できるのは
  • class ディレクトリや jar への絶対パスまたは相対パス
  • ivy artifacts
  • maven artifacts
です。

デフォルトで以下の maven repositories が含まれていますが ここに含まれていない ivy/maven repository を追加したいときは @file:Repository を使います。 @file:Repository("https://repo1.maven.org/maven2")



追加したライブラリのクラスを使うときは import 文が必要です。







2019年12月29日日曜日

Kotlin kernel for Jupyter notebooks で %use でロードできるライブラリ

Kotlin kernel for Jupyter notebooks では magic commands として %use が用意されています。

%use でライブラリを指定すると、対応する Maven リポジトリが構成されてライブラリがロードされ、必要な import 文が追加されます(自分で import xx を書く必要がない)。 %use klaxon %use lets-plot %use krangl %use kotlin-statistics %use kravis %use kmath , で区切って一度に指定することもできます。 %use krangl, lets-plot バージョンを指定したいときは引数で指定します。 %use krangl(0.10), lets-plot %use でロードできるライブラリは :help コマンドで確認することができます。



または https://github.com/Kotlin/kotlin-jupyter/tree/master/libraries で見ることができます。

  • klaxon : A JSON parser for Kotlin
  • lets-plot : data visualization
  • krangl : {K}otlin library for data w{rangl}ing.
  • kotlin-statistics : Idiomatic statistical operators for Kotlin
  • kravis : data visualization
  • kmath : Kotlin mathematics extensions library
  • koma : A scientific computing library for Kotlin
  • numpy : Kotlin wrapper for Python NumPy package
  • exposed : Kotlin SQL framework
  • gral : Free Java library for displaying plots
  • spark : Unified analytics engine for large-scale data processing
  • mysql : MySql JDBC Connector



2019年12月27日金曜日

The World Bank Data Catalog から GDP のデータを取得する

The World Bank Data Catalog では様々なデータを公開しています。



今回は World Development Indicators のデータを使いたいと思います。



Data & Resources の Developer documentation に API の説明があります。
特に API Basic Call Structures にサンプルの URL がたくさん載っています。



まず、この World Development Indicators にどんなパラメータを指定する必要があるのかを調べます。World Development Indicators の Harvest Source ID は 2 なので

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/concepts

を見ます。すると Country, Series, Time が必要なのがわかります。



Country の一覧は

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/country?per_page=500

から取れます。日本(JPN)やアメリカ合衆国(USA)などがあるのがわかります。


Time の一覧は

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/time?per_page=500

から取れます。1960年から2019年まであるのがわかります。


Series の一覧は

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/series?per_page=500

から取れるのですが、数が多いので GDP が含まれている Series だけに絞ってみます。

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/concepts/series/search/gdp

これでもまだ463件ありますが、代表的なものを挙げると
  • 国内総生産(GDP)は GDP (current US$) (id : NY.GDP.MKTP.CD)
  • 一人当たり GDP は GDP per capita (current US$) (id : NY.GDP.PCAP.CD)
  • GDPの成長率は GDP growth (annual %) (id : NY.GDP.MKTP.KD.ZG)
などがあります。


Series の id は Indicator の id として指定でき、

https://api.worldbank.org/v2/sources/2/indicator/NY.GDP.MKTP.CD

で各 Indicator の詳細を見ることができます。


では日本(JPN)の GDP(NY.GDP.MKTP.CD)を見てみましょう。

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn/indicator/NY.GDP.MKTP.CD



期間を指定するときは date を使います。

2018年のデータだけ取得するなら

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?date=2018

2010年〜2018年のように期間を指定するなら : を使います。

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?date=2010:2018


複数の国のデータを取得するには Country id を ; でつなげます。日本とアメリカ合衆国の GDP を取得するなら

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn;usa/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?per_page=200


JSON で取得するときは format=json を指定します。

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?format=json




JSON-stat で取得するときは format=jsonstat を指定します。

https://api.worldbank.org/v2/country/jpn/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?format=jsonstat





2019年12月24日火曜日

Kotlin + Jupyter notebooks で給与の額面から手取りを求めてみる

このエントリは Fintalk Advent Calendar の24日目です。



Kotlin Conf 2019 で Kotlin for Data Science が発表されましたね。

今回は Kotlin + Jupyter notebooks で給与の額面から手取りを求めてみたいと思います。

Kotlin kernel for Jupyter notebooks

Jupyter notebooks 用の Kotlin kernel を使うと、Jupyter notebooks 内の Kotlin コードを実行し、Java や Kotlin で書かれた 3rd-party data science frameworks を使うことができます。

https://github.com/Kotlin/kotlin-jupyter

に conda か pip を使ったインストール方法があります。
私はソースからビルドしました。 $ git clone git@github.com:Kotlin/kotlin-jupyter.git $ cd kotlin-jupyter/ $ ./gradlew install

$ jupyter notebook で Jupyter notebooks が起動します。

New から新規作成するときに Kotlin を選択します。



あとは Kotlin のコードを書いて実行できます。









Lets-Plot for Kotlin (https://github.com/JetBrains/lets-plot-kotlin) を使ってグラフも作ろうかと思ったのですが API がまだよくわからなかったので、それは次回以降にしたいと思います。



2019年12月21日土曜日

標準報酬月額と算定基礎届

このエントリは Fintalk Advent Calendar の20日目です。


給与の額面から手取りを計算してみよう。」の中で、健康保険料や年金保険料を計算するベースとなる金額が標準報酬月額だという話をしました。

この標準報酬月額が決まるタイミングは主に3つあります。
  • (1)資格取得時の決定
  • (2)定時決定
  • (3)随時改定

標準報酬月額が決まるタイミング

「(1)資格取得時の決定」というのは要は就職したタイミングでの決定ということです。事業主は従業員を雇用したときに報酬月額を届け出ます。これに基づいて標準報酬月額が決まります。
資格取得時に決まった標準報酬月額は

1月1日から5月31日までに資格取得した人 → その年の8月まで
6月1日から12月31日までに資格取得した人 → 翌年の8月まで

使用します。


毎年7月1日〜7月10日の間に事業主は算定基礎届というのを届け出る必要があります。この算定基礎届で標準報酬月額が決まるのが「(2)定時決定」です。
定時決定(算定基礎届)で決まった標準報酬月額は

その年の9月から翌年の8月まで

使用します。


昇給や降給によって報酬月額が大幅に変動したときは、毎年1回行う定時決定を待たずに標準報酬月額を見直します。 この見直しによる決定が「(3)随時改定」です。
随時改定で決まった標準報酬月額は

1月から6月に改定された場合 → その年の8月まで
7月以降に改定された場合 → 翌年の8月まで

使用します。

随時改定が必要な変動には条件があります。詳しくは「日本年金機構の 月額変更届の提出」に書かれています。

算定基礎届

算定基礎届は7月に提出します。
算定基礎届には直前の4月,5月,6月に実際に支払われた報酬を書きます。

例えば「給与が末締め翌月5日払い」の場合、3月の給与が4月に、4月の給与が5月に、5月の給与が6月に支払われます。
算定基礎届には実際に支払われた報酬を書くので、この場合3月,4月,5月の給与として4月,5月,6月に支払った額を書きます。

算定基礎届には、報酬を計算する基礎となる日数である支払基礎日数も書きます。
例えば月給制で「給与が末締め翌月5日払い」の場合、4月の報酬は3月の給与分なので4月の支払基礎日数には31日(3月の日数)を書きます。

4月,5月,6月の報酬月額のうち、支払基礎日数が17日以上ある月の額で平均を計算します。
例えば4月,5月,6月の支払基礎日数が17日以上あるなら (4月分+5月分+6月分)/3 になりますし、4月と6月だけ支払基礎日数が17日以上あるなら (4月分+6月分)/2 になります。



報酬となるもの・ならないもの

標準報酬月額の算定のもととなるものを報酬と呼んでいます。
基本給のほか、住宅手当てや残業手当てなどの諸手当、現物で支給される食事や住宅、通勤定期券も報酬に含まれます。

例えば3月,4月,5月分の基本給が30万円で、住宅手当2万円、3ヶ月定期が3万円だとすると、
報酬月額の項目の「通貨によるものの額」として32万円(30万円 + 2万円)、「現物によるものの額」として1万円(3万円/3)を書きます。

食事が支給される場合

事業主が被保険者に社員食堂などで食事を支給した場合、「現物給与の価額」で通貨に換算して報酬に算入します。 「現物給与の価額」は都道府県ごとに厚生労働大臣が定めます。

日本年金機構の 全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)ページ
平成31年4月~(PDF) があります。

これを見ると、例えば「東京の1人1日当たりの昼食のみの額」は 250円です。
昼食を20日分支給した場合 250 * 20 = 5000円になりますが、被保険者の負担額が「現物給与の価額」の 2/3(この場合3334円)以上の場合は報酬に算入しません。
被保険者の負担額が「現物給与の価額」の 2/3 未満の場合は、「現物給与の価額」から負担額を引いた額を報酬に算入します。
例えば被保険者の負担額が 2000円なら 5000 - 2000 = 3000円を報酬月額の項目の「現物によるものの額」に追加します。

住宅が提供される場合

事業主が被保険者に社宅や寮を提供している場合、「現物給与の価額」で通貨に換算して報酬に算入します。 「現物給与の価額」は都道府県ごとに厚生労働大臣が定めます。

日本年金機構の 全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)ページ
平成31年4月~(PDF) があります。

これを見ると、例えば「東京の1人1カ月当たりの住宅の利益の額(畳1畳につき)」は 2590円です。
例えば、寮の居住用の室が10畳の場合(玄関や台所やトイレなど居住用以外の室は含めない) 2590 * 10 = 25900円になりますが、被保険者の負担額が「現物給与の価額」以上の場合は報酬に算入しません。
被保険者の負担額が「現物給与の価額」未満の場合は、「現物給与の価額」から負担額を引いた額を報酬に算入します。
例えば被保険者の負担額が 10000円なら 25900 - 10000 = 15900円を報酬月額の項目の「現物によるものの額」に追加します。

賞与

賞与の扱いは、支給回数が4回以上か未満かで変わってきます。

賞与が年4回以上支給される → 報酬の対象になる
賞与が年3回まで支給される → 報酬の対象にならない(標準賞与額の対象になる)

7月1日を基準として前1年間に4回以上賞与が支給されていた場合、賞与の合計額を12で割った額を報酬月額の項目の「通貨によるものの額」に追加します。

ガイドブック

標準報酬月額を決めるもとになる報酬に何が含まれるのかをざっくり解説しました。
実際は他にもっと細かいルールがあります。例えば、月の途中で入社したときはどうなるのかとか、パートタイム労働者や短時間労働者の場合はどうなるのかなど。

以下のガイドブックにさまざまなケースでの例が紹介されているので、気になったかたは是非読んでみてください。

日本年金機構 算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和元年度)(PDF)


2019年12月19日木曜日

賞与の額面から手取りを計算してみよう。

このエントリは Fintalk Advent Calendar の19日目です。


前回「給与の額面から手取りを計算してみよう。」で給与から引かれる社会保険料や税金がどう計算されているのか解説しました。
今回は賞与について同じように計算してみたいと思います。
前回説明した用語をそのまま使いますので、前回を読んでいない方はまずそちらを読んでください。

設定

実際に計算していくにあたり、以下の設定で進めていきます。

IT企業に務めるサラリーマン、28歳、独身、IT健保加入
2019年4月以降毎月「基本給30万円」、残業なし、交通費1万円、住宅手当2万円

夏の賞与60万円

賞与の額面

賞与には交通費や手当てなどはつかないので「額面60万円」です。

前回、給与から引かれる健康保険料や年金保険料を計算するベースとなる金額は標準報酬月額だと説明しました。
一方賞与の場合は「標準賞与額」で計算します。

標準賞与額

標準賞与額とは、(年3回以下)支払われる賞与について1000円未満を切り捨てた額をいいます。

標準賞与額には以下の上限があります。
健康保険 : 年度(保険者単位で4月1日から翌年3月31日まで)の累計額で 573万円
厚生年金保険 : 支給1ヶ月(同一月内についき2回以上支給されたときは合算)150万円


この人の場合の標準賞与額は60万円です。

健康保険料、介護保険料

では賞与の保険料を計算しましょう。前回と同じでIT健保の計算式を使います。



被保険者負担率は 1000分の42.5 なので天引きする健康保険料は25,500円です。

健康保険料 = 標準賞与額 * 42.5 / 1000 = 600,000 * 42.5 / 1000 = 25,500

介護保険料も同じように計算すればよいのですが、介護保険料を払うのは40歳からなので、この方は介護保険料負担は0円です。

厚生年金保険料

平成29年9月以降の厚生年金保険料率は18.3%です(ただし厚生年金基金に加入している場合免除保険料率が引かれる)。



被保険者の負担は9.15%なので天引きする年金保険料は54,900円です。高いね...

厚生年金保険料 = 標準賞与額 * 9.15 / 100 = 600,000 * 9.15 / 100 = 54,900

雇用保険料

雇用保険料率はこちらのページ平成31年度の雇用保険料率について(pdf)です。

一般の事業の労働者負担は 3/1,000 です。天引きする雇用保険料は1,800円です。

雇用保険料 = 標準賞与額 * 3 / 1000 = 600,000 * 3 / 1000 = 1,800

源泉徴収税(所得税+復興特別所得税)

賞与の源泉徴収税を計算するには、前月中の給与等から社会保険料等を引いた額(つまり、前月の給与計算のときの課税対象額)を使います。

前回の値を使うとすると、この方の前月の給与の課税対象額は283,450円です。


源泉徴収税額表は国税庁のこちらのページの源泉徴収税額表関係のところにあります。

平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(pdf)

この方は扶養がいないので、課税対象額 283,450円 に対応する扶養親族等の数が0人のところをみると、6.126% です。



この率を賞与の課税対象額にかけたものが源泉徴収税額になります。

まず、賞与の課税対象額は517,800円です。

課税対象額 = 賞与額面 - 各種社会保険料 = 600,000 - 25,500(健康保険料) - 0(介護保険料) - 54,900(年金保険料) - 1,800(雇用保険料) = 517,800

これに 6.126% をかけて源泉徴収税額は 31,720円です。

源泉徴収税額 = 517,800 * 6.126 / 100 = 31,720(10円未満四捨五入)

まとめ

さて、「賞与額面60万円」の手取りはいくらになったのか!

600,000 - 25,500(健康保険料) - 0(介護保険料) - 54,900(年金保険料) - 1,800(雇用保険料) - 31,720(源泉徴収税額)= 486,080円

手取りは 486,080円 です!


600,000 - 486,080 = 113,920

10万円以上引かれてますねー...


113,920 / 600,000 * 100 = 18.99 %

住民税がないのに額面の2割近いですね...

賞与に対する源泉徴収税額の算出率は前月の給与の課税対象額で決まるので、給与が増えて率が次の段階になると源泉徴収税額ががっと増えます。つらい!!!





2019年12月10日火曜日

給与の額面から手取りを計算してみよう。

このエントリは Fintalk Advent Calendar の10日目です。


給与の話をするときそれが額面なのか手取りなのかで随分と話(金額も)が変わってきます。
サラリーマンだと手取りの計算は会社の経理が行なってくれるので、給与明細を見る時ぐらいしか気にしないかもしれません。

私は自分で自分の手取り(=支給額)を計算しているので、いかにたくさん年金やら税金やらに取られているか知っています。とてもつらくなります...
このつらさをみんなと分かち合いたいので、額面から手取りがどう計算されているのかを解説したいと思います。


賞与の場合はこちら → 「賞与の額面から手取りを計算してみよう。

基本給(本給)

手取りを計算する上での出発点は「基本給(本給)」です。
みなさんの給与明細で基本給とか本給と書かれている項目です。
時給×時間とか日給×日数とか月給とかがこれです。

この基本給に残業代や交通費、住居手当や家族手当などを合わせたのが「額面」です。
年収や月収と呼ばれるものは「額面」のことです。とくに年収は「総支給額」ともいいます。雇用主が払う総額ということです。

額面から「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、「雇用保険料」、「源泉徴収税(所得税+復興特別所得税)」、「住民税(特別徴収の場合)」などが引かれたものが手取りです。
手取りとは実際にみなさんの口座に振り込まれる額のことです。
こんなにいろいろ引かれる!悲しい!

まとめると

基本給(本給) = 時給×時間とか日給×日数とか月給とか
額面 = 基本給 + 残業代とか交通費とか諸手当
手取り = 額面 - 各種保険料 - 各種税金

設定

実際に計算していくにあたり、以下の設定で進めていきます。

IT企業に務めるサラリーマン、28歳、独身、IT健保加入
2019年4月以降毎月「基本給30万円」、残業なし、交通費1万円、住宅手当2万円

額面

額面の計算は簡単ですね。基本給30万円に交通費1万円と住宅手当2万円を足して「額面33万円」です。

ここでとてもとても大事な情報なのですが、健康保険料や年金保険料を計算するベースとなる金額はその月の額面ではありません!

標準報酬月額

健康保険料や年金保険料を計算するベースとなる金額が標準報酬月額です。
標準報酬月額や算定基礎届についてちゃんと書こうとするととても長くなるので、ここではざっくり説明します。
事業主は毎年、7月1日次点での該当者について「算定基礎届」というのを7月10日までに提出します。
これには4~6月に支払った賃金を書きます。この届出内容に基づいて決定された標準報酬月額が雇用主に通知されます。
雇用主は通知されたこの標準報酬月額を使って天引きする健康保険料や年金保険料を計算します。

標準報酬月額は健康保険料と年金保険料で別々に決まります。


では標準報酬月額を出してみましょう。
正しくは通知された標準報酬月額を使わないといけないのですが、ここでは4月〜6月の平均額面が33万円なのでこれを使います。


健康保険の標準報酬月額

IT健保の保険料一覧はこちらのページの保険料額一覧表というところにあります。
平成30年3月1日適用の保険料額一覧表(pdf)

4月〜6月の平均額面が33万円なので、



健康保険の標準報酬等級は24、標準報酬月額は34万円になります。

年金の標準報酬月額

厚生年金の保険料一覧は日本年金機構のこちらのページにあります。
一般・坑内員・船員の被保険者の方(pdf)

4月〜6月の平均額面が33万円なので、



年金の標準報酬等級は21、標準報酬月額は34万円になります。

健康保険料、介護保険料

健康保険料の額は、どの公的医療保険に加入しているかで変わってきます。 例えば自営業者の人は「国民健康保険」に、企業の従業員は「健康保険」に加入します。
みなさんが病院で提出する(健康)保険証は加入している公的医療保険の運営者が発行しています。

健康保険の運営者には全国健康保険協会(協会けんぽ)と各種健康保険組合があります。
会社がどの運営者に加入しているかで「健康保険料」「介護保険料」の金額が変わってきます。

例えばIT界隈で有名なIT健保は健康保険組合です。

では標準報酬月額から保険料を計算しましょう。先ほどのPDFの表をみてもいいのですが、計算式があります。この計算式はどの公的医療保険に加入しているか、どの運営者に加入しているかで決まります。
先ほどのPDFの右上に計算式が書いてあります。



健康保険料に事業主負担率と被保険者負担率がありますね。実は事業主が半額を負担しているんです。人を雇うと給与以上に金がかかるというのはこういうところからも来ているのです。

さて、被保険者負担率は 1000分の42.5 なので天引きする健康保険料は14,450円です。

健康保険料 = 標準報酬月額 * 42.5 / 1000 = 340,000 * 42.5 / 1000 = 14,450

介護保険料も同じように計算すればよいのですが、介護保険料を払うのは40歳からなので、この方は介護保険料負担は0円です。

厚生年金保険料

年金です!年金には国民年金と厚生年金があります。

国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は16,410円です(令和元年度)

厚生年金の毎月の保険料は 標準報酬月額 × 保険料率です。
平成29年9月以降の厚生年金保険料率は18.3%です(ただし厚生年金基金に加入している場合免除保険料率が引かれる)。



この18.3%を事業主と被保険者で半分ずつ負担します。
被保険者の負担は9.15%なので天引きする年金保険料は31,110円です。たかっ...

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 * 9.15 / 100 = 340,000 * 9.15 / 100 = 31,110

雇用保険料

雇用保険料率はこちらのページ平成31年度の雇用保険料率について(pdf)です。

一般の事業の労働者負担は 3/1,000 です。雇用保険料は標準報酬月額ではなく、その月の額面で計算します。なので天引きする雇用保険料は990円です。

雇用保険料 = 額面 * 3 / 1000 = 330,000 * 3 / 1000 = 990

源泉徴収税(所得税+復興特別所得税)

源泉徴収税を計算するには、まず課税対象額を求めます。健康保険料や年金保険料などで引かれる分は課税対象になりません。
この方の課税対象額は283,450円です。

課税対象額 = 額面 - 各種社会保険料 = 330,000 - 14,450(健康保険料) - 0(介護保険料) - 31,110(年金保険料) - 990(雇用保険料) = 283,450

源泉徴収税額表は国税庁のこちらのページの源泉徴収税額表関係のところにあります。

平成31年(2019年)分 源泉徴収税額表給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(pdf)

この方は扶養がいないので、課税対象額 283,450円 に対応する扶養親族等の数が0人のところをみると、7,710円です。



計算式で求める場合は 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示(pdf) を使います。



複雑すぎん????

まず別表第一の給与所得控除の額を求めます。

課税対象額 が 150,000 〜 299,999 のときの給与所得控除の額は 課税対象額 × 30 % + 15,000円なので、

給与所得控除の額 = 283,450 * 30 / 100 + 15,000 = 100,035

配偶者も控除対象扶養親族もいないので基礎控除の額と、上で求めた給与所得控除の額を、課税対象額から引きます。

課税給与所得金額 = 283,450(課税対象額) - 100,035(給与所得控除の額) - 31,667(基礎控除の額) = 151,748

課税給与所得金額が 〜 162,500 のときの源泉徴収税額は、課税給与所得金額 × 5.105 % なので、

源泉徴収税額 = 151,748 * 5.105 / 100 = 7,750(10円未満四捨五入)

住民税(特別徴収の場合)

住民税は住んでいるところや、前年度の収入によって変わってくるので、仮に 17,000円 としましょう。

まとめ

さて、「額面33万円」の手取りはいくらになったのか!

330,000(額面) - 14,450(健康保険料) - 0(介護保険料) - 31,110(年金保険料) - 990(雇用保険料) - 7,710(源泉徴収税額) - 17,000(住民税の例)= 258,740円

手取りは 258,740円 です!


330000 - 258,740 = 71,260

7万円以上引かれてるやん!!!!


71,260 / 330,000 * 100 = 21.6 %

額面の2割も引かれてるやん!!!

額面が大きくなるとこの割合はもっと増えます。つらい!!!





2019年12月9日月曜日

KotlinConf 2019 に参加してきました。

KotlinConf 2019 はデンマークのコペンハーゲンで開催されました。

Keynote ではこれまでの Kotlin の歩みを振り返り、次のメジャーバージョンである Kotlin 1.4 の予定などが発表されました。



MPP で作られているアプリの紹介もありました。



Kotlin 1.4 では quality と performance に注力すると言っていました。
主な言語機能もだいたい追加されて落ち着いてきていたし、予想していた方向性だなと思いました。



しかし、ここにきて新しいコンパイラーが出るとは予想していませんでした。すごい。



1.4 で全く新しい機能がないわけではなく、Kotlin の interface でもSAM変換のようにラムダで記述できる fun interface というのが発表されていました。



来年(2020年)に MPP の iOS Kotlin アプリを Android Studio で実行・デバッグするプラグインが出るそうです。楽しみ!

セッションについて

全体的にMPPのセッションが多かったです。 個人的に面白かったのは Kotlin for Data Science で、jupyter notebook で Kotlin が使えるようになるライブラリなどが紹介されました。
詳しくは以下の Kotlin 公式サイトのページに情報があります。
Kotlin for Data Science



初日の最後には Special announcement があり、新しい製品の Space が発表されました。



いつもの Kotlin Puzzlers 楽しかったです。あいかわらず全然わからないけど。



クロージングはQAセッションでした。



ハンズオンについて

ハンズオン部屋があったので、はじめてのMPP的なやつに参加しました。 電源があり、PCの充電ができてよかったです。

会場について



Keynoteの部屋以外のセッション部屋は席が階段状になっていて、どの席からでもスクリーンが見やすくてよさそうでした。 (私は最前列に座る主義なのであんまり関係ないのですが)

Store があって、Tシャツとパーカーが売っていました。
2日目になると初日の夜に発表された Space のTシャツが追加されていました。



朝食・昼食が提供されました。

朝食はかなり軽めです。
デカフェがなかったのが残念でした。



昼食はビュッフェ形式で、暖かい料理が食べられてとてもよかったです。しかも美味しい。
ビュッフェの列形成には難ありです。

1日目



2日目



初日の夜にはパーティがありました。
パーティのご飯はまぁまぁでした。Droid Kaigi の方がよいです。



コペンハーゲンについて

物価が高いです。カフェで朝ごはん(サンドイッチとカプチーノ)食べると普通に 100 DKK(≒ 1600円)とかします。ラーメン一杯2000円〜とか。

ウォルトディズニーが参考にしたという世界最古(でも Wikipedia によると2番目らしい)といわれている遊園地があるチボリ公園にいってきました。
入場料1000円くらいです。夜に行ったので大人がたくさんいました。ほとんど地元民だと思います。
公園内にカフェやレストランがたくさんあって(アトラクションより多そう)、食事しに来ている人も多そうでした。
入場料がそこそこするので、よく来る地元の人はフリーパスを持ってそうだなと思いました。